2-chōme-24-2 Nishiazabu, Minato-Ku, Tokyo 106 - 0031

KARIMOKU RESEARCH CENTER

〒106-0031 東京都港区西麻布 2丁目 24-2

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KARIMOKU RESEARCH CENTER

KARIMOKU RESEARCHのはじまり[前編]
KARIMOKU RESEARCHのはじまり[前編]
interview
KARIMOKU RESEARCH CENTER

2024年10月に始まった新プロジェクト「KARIMOKU RESEARCH(カリモクリサーチ)」と、同プロジェクトの拠点として東京・西麻布にオープンした複合施設「KARIMOKU RESEARCH CENTER(カリモクリサーチセンター)」。

「KARIMOKU RESEARCH」では、年間4つの研究テーマを設け、1つのテーマごとに国内外のクリエイターやデザイナー、アーティスト、企業との対話を通じて『Survey=調査』を行い、テーマの再解釈・再構築を試みる。その後、『Survey』の内容を「KARIMOKU RESEARCH CENTER」での展示などを通じて、グローバルに発信していくという。

カリモク家具は、なぜこのようなプロジェクトを始めようと思ったのか。
「KARIMOKU RESEARCH」が拓く新たな可能性とは。

カリモク家具株式会社取締役副社長の加藤洋と、株式会社DCA SYMPHONY  クリエイティブディレクターのBrad Holdgraferに話を聞いた。

<Text by Mariko Fujita /  Interview Photos by Kohei Yamamoto / Exhibition Photos by Masaaki Inoue, Bouillon >

家具づくりの枠を超えて、新たな可能性を探求する「KARIMOKU RESEARCH」

ーーまずは、「KARIMOKU RESEARCH」およびその活動拠点である「KARIMOKU RESEARCH CENTER」を立ち上げようと思ったきっかけについて、教えていただけますか。

加藤洋(以下、加藤):実はずっと前から、このような「場」をつくりたいと思っていました。カリモク家具には、私が入社してから30年が経った今もなお、驚きを与え続けてくれる素晴らしい職人の技術や知識、ものづくりに向き合う姿勢、生産システムがあります。

従来は、こうした技術やノウハウを、自社の製品づくりにのみ活かしてきました。しかし、私たちのミッションは「木とつくる幸せな暮らし」を実現すること。つまり、私たちの活動は「家具をつくること」だけには留まりません。そして、「家具づくり」の枠を超えていくためには、カリモク家具にあるさまざまな要素が、まだ見ぬ才能やアイデアと出会えるような空間やプラットフォームが必要だと考えたのです。
 

ーーBradさんは、どのような経緯でこのプロジェクトに参画することになったのでしょうか。

Brad Holdgrafer(以下、Brad):私がはじめてカリモク家具の工場を見学したのは2020年、ちょうど日本がコロナ禍に見舞われる直前でした。それまでも、カリモク家具が素晴らしい家具をつくっていることは知っていましたが、組み立てや塗装の現場を実際に見て、本当にいろいろな可能性があると感じました。

その後もミーティングを重ねる中で、洋さんから「ラボのような拠点をつくりたい」という構想を伺いました。これまでカリモク家具は、「Karimoku Case」や「Karimoku New Standard」といったシリーズにおいて、外部からのアイデアを取り入れ、新しいものをつくってきました。その流れを踏まえて今後は、カリモク家具の内部から外に何かを発信していくような新たな取り組みを始めたいーーという洋さんの情熱に、私自身大変共感したのです。

現在開催中のKARIMOKU RESEARCH Survey 01:NEW TRADITION 『KARI KARI MOKU MOKU WAKA WAKA』の展示の様子。

「KARIMOKU RESEARCH」が目指す「冒険」とは

ーー当初のイメージは「ラボ」だったのですね。

Brad:そうですね。しかし、対話を重ねる中で、最初「ラボ」と呼んでいたコンセプトは次第に「リサーチ(研究)」へと変わっていきました。「ラボ」には一つの場所に固定化されたイメージがあった一方、「リサーチ」という言葉には外に向かって未知のものを発見しに行くようなニュアンスがあるからです。

ーー現在のプロジェクトのコンセプトは?

Brad:「KARIMOKU RESEARCH」のゴールは明確で、人々の多様な生活を研究し、アーカイブし、イノベーションを起こすことにあります。

たしか2年ほど前でしたが、洋さんが1960年代のカリモク家具のカタログを見せてくれたことがあり、その最初のページに「カリモクは家具をつくっているだけではなく、新しいライフスタイルを創造しています」と書かれていて、とてもクールだと感じました。

カリモク家具が何十万、何百万もの異なるライフスタイルを世界中で創造しているのであれば、それらを研究したり、新たな情報を得たり、深く理解したりすることで、非常にイノベーティブなものを生み出せるはずだと思ったのです。そしてカリモク家具には、それを実現できるだけの技術もあるのだと。

加藤:「KARIMOKU RESEARCH」でこれから私たちがやろうとしていることを、一言で表すならば「冒険」になるでしょうか。「どうすれば社内のほかのメンバーにもこのプロジェクトにワクワクしてもらえるだろうか」とBradと話していたとき、「森」というメタファーを使いました。

もしカリモク家具が小さな村だとしたら、その外側には「森」がある。その「森」は長らく豊かだったけれど、やがて栄養がなくなり、カリモク家具はイノベーションを失った閉ざされた世界になるかもしれない。

そこで「KARIMOKU RESEARCH」で、「森」の外に出てできるだけ多くを学び、それらを村や森に持ち帰って栄養を与える。そんな活動のイメージです。まさに「冒険」でしょう?

Brad:「冒険的なイニシアチブ」というのは、まさにぴったりの表現ですね。未知のことが多すぎて少し怖くなる瞬間もありますが、そうしたときは、カリモク家具の歴史やチームの力を信じることにしています。

ーー具体的に、どのような活動を予定しているのでしょうか。

Brad:プロジェクトの核となるのは『Survey』という取り組みで、年間に4つの研究テーマを設け、そのテーマを軸に国内外のアーティストやコラボレーター、カリモク自身の解釈を加えていくことで、テーマの再構築を試みます。

たとえば、初回の『Survey』のテーマは「Wood(木)」でした。カリモク家具の歴史は木から始まりますからね。そして、Christian+Jadeに「Wood(木)」というテーマを共有し、一緒に森や工場を見学して生まれた作品が「The Age of Wood」です。

2回目となる『Survey』では、「NEW TRADITION」というテーマのもと、WAKA WAKAとLichenという2つのデザインスタジオとリサーチを行い、『Survey 01:NEW TRADITION』という展示を行っています。WAKA WAKAとLichenの視点はそれぞれ異なりますが、「NEW TRADITION」という大きな枠組みは共通です。『Survey』のテーマは、カリモク家具がリサーチを組織し、アーティストにお題を提示する上で機能しているのです。

ショールームでも美術館でもない空間から生まれるもの

ーー活動拠点である「KARIMOKU RESEARCH CENTER」の機能についても教えていただけますか。

加藤:まず1Fのギャラリースペース「THE ARCHIVE」では、プロジェクトの核である『Survey』の内容をもとに、3か月ごとに大規模な展示を行っていきます。現在は、ロサンゼルスを拠点に活動するデザインスタジオWAKA WAKAをリサーチャーに迎え、「NEW TRADITION」というテーマで素晴らしいコラボレーション作品を発表しています。

2Fのライブラリースペース「THE MATERIALS LAB」では、さまざまな素材や技術のサンプルを展示しています。実際に手を動かしながら、「あんなこともできる」「こんなこともできる」とどんどんアイデアが湧いてくる、コラボレーションのためのスペースです。

地下の多目的スペース「THE STUDY」には、キッチンや音響設備、LEDスクリーンを完備しています。ビジネスのピッチを行ったり、イベントを開催したり、食事や会話を楽しんだりなど、本当にさまざまな用途に対応しています。

Brad:2021年にオープンした「Karimoku Commons Tokyo」は「カリモク家具がこれまでつくってきたもの」を見せる空間だとすれば、「KARIMOKU RESEARCH CENTER」は、カリモク家具が「これからつくっていくかもしれないもの」を見せる空間であり、パートナーシップや新たなアイデアを探求する場所です。

そしてこの空間の面白さは、ショールームでもなければ美術館でもない、両者の中間に位置する存在だということ。美術館では通常、作品が展示されていて、それを鑑賞することが主な目的ですよね。でも「KARIMOKU RESEARCH CENTER」では、アーティストの表現を見るだけでなく、その作品を支えたカリモク家具の技術も体感できます。つまり、「KARIMOKU RESEARCH CENTER」は美術館であると同時に、ショールームとしての役割も果たしているのです。

 

ーーなるほど。「美術館であると同時にショールームである」という両義性が、この空間にユニークさをもたらしているのですね。

Brad:そうですね。洋さんのチームは大胆にも、「いかにもショールーム」な雰囲気ではなく、訪れた人がカリモク家具を感じられるような、何か革新的なことができる場所をつくろうと考えたんです。

だからこそ「冒険」という単語がしっくりきます。新しいものというのは、いつも未知の領域に飛び込むことで得られるものだと思いますから。

*本インタビューの[後編]は、3月初旬の公開を予定しております。